初日から迫力ある試合の連続で、国際大会ならではの独特の緊張感に包まれています。
世界一を賭けた各国代表選手たちによる真剣勝負。
2日目はいよいよ今大会最初の金メダルが決まります。
この日も台州の空は分厚い雲に覆われ、断続的に小雨が降るあいにくの天候。
前日に続き室内コートで試合が行われます。
朝のウォームアップのあとは、前日のシングルスでベスト4に進出した選手たちによる準決勝からスタート。
シングルスの日本勢では唯一、林田リコ選手だけが勝ち残っています。
敗れた選手たちのぶんまで奮起してもらって、なんとか金メダルを獲得したリコちゃんスマイルを見たいところです。
準決勝の対戦相手は、前日に尾上胡桃選手のベスト4入りを阻んだ韓国のソン・ジヨン選手。
ライバル日韓対決。
途中、ゲームカウント1-3と韓国にリードを許す林田選手ですが、苦しい場面でも崩れず我慢のテニスでファイナルへ追いつきます。
紙一重の勝負でしたが、ファイナルでは惜しいミスで流れをもっていかれたか最後は7-3でジヨン選手が勝利。
日本のエースが死力を尽くしてなお、金メダルまでわずかに届かず。
国際大会で金メダルを獲得することの難しさを痛感する結果に。
一方、男子の準決勝は韓国選手の同士討ち。
船水颯人選手との激闘を制したキム・ジヌン選手と、内本隆文選手を破ったユン・ヒョンウク選手。
同じ韓国選手同士の対戦で、王者キム・ジヌン選手に対してどういった戦い方をするのか気になるところ。
しかしながら、いまだ国際大会シングルスで負け知らずのディフェンディングチャンピオンは、この日も盤石の試合運び。
④-0で危なげなく決勝進出を決めました。
いまだキム・ジヌンの弱点見えず。
続く決勝戦は、「思いやりドロー」によって日韓台不在の反対ヤマから上がってきた中国選手と対戦。
今大会最初の金メダルはキム・ジヌン選手に。
4年に1度開催される世界選手権のシングルスでは、大会史上初となる連覇を達成。
敵ながらあっぱれです。
国別対抗団体戦での日本チーム金メダル獲得には、このジヌン選手が大きな障壁となるに違いありません。
女子決勝戦は、韓国ソン・ジヨン選手と中国のシェ・スーチー選手との対戦に。
強豪国サイドを勝ち上がったジヨン選手の圧勝かと思われましたが、ここで意外な展開に。
中国選手が健闘し、互角の勝負を繰り広げます。
過去の国際大会でも、中国選手が上位に食い込むことはありました。
今回決勝まで進んだシェ・スーチー選手も、両手打ちのバックハンドから見ても明らかに硬式テニス出身の選手であることは分かります。
聞けば驚くことに、硬式テニスの選手として活躍したあとソフトテニスに転向してまだわずか8ヶ月だそうです。
大方の予想を裏切り、韓国選手を破って見事優勝を飾りました。
この快挙に、試合後には早速地元メディアからの取材が。
試合中の鬼気迫る表情からは想像できませんでしたが、見るとまだあどけなさも残る22歳の若者でした。
8ヶ月でこれだけの結果を出すとなれば、この先さらなる活躍が期待されます。
嬉しい地元中国選手の金メダル獲得で、ニューヒロインの誕生です。
男女のシングルスチャンピオンが決まり、ほどなくして同日開催のミックスダブルスがスタート。
9ゲームマッチ、決勝まで最大5試合のトーナメントを1日で行います。
ここまでの試合を見ても、3強国以外の選手たちの力も年々上がり、全体のレベルが底上げされてきているように感じます。
多くの国の選手が競い合ってこそ、国際大会も盛り上がるというもの。
ただ、世界大会といっても実質的にその大半をアジア地域の国が占めているのが現状です。
そうしたなかでも今回はアジア選手権、アジア競技大会と異なり、ハンガリー、ドイツ、ポーランド、チェコ、アメリカなど欧米の選手たちも参加しています。
東洋人のみならず、西洋人のイケメン選手たちがソフトテニスをしている姿を見ると、つい嬉しくなってしまいます。
たとえまだソフトテニスが普及していない地域でも、世界の硬式テニス人口を考えれば、そこからソフトテニスに興味を持って自国の代表選手として活躍するケースも増やせる余地はあります。
他の競技でも、バレーボール選手がビーチバレーに転向したり、サッカー選手がフットサルやビーチサッカーに転向したりと、似た競技で活躍する選手の例は少なくありません。
さまざまな国において、ソフトテニスならではの普及発展の形が広がっていけばと切に願っています。
今回ミックスダブルスへのエントリーは各国2ペアまで。
日本から出場したのは、高橋乃綾選手と長江光一選手。
それぞれの所属チームでもダブルフォワード戦術を取り入れているこの2人のペアリングは、非常に面白いところ。
ミックスダブルスでどこまでその形が通用するかが見所です。
また、男子代表キャプテンでもある長江選手は、今回で4大国際大会に8回連続の出場。
日本チームの精神的支柱としても、その活躍を期待せざるを得ません。
そして、女子キャプテンも同じくミックスダブルスにエントリー。
黒木瑠璃華選手は、内本隆文選手とのペアでメダル獲得を狙います。
ミックスダブルスでしか見られない黒木選手のアンダーカットサーブや、内本選手とのダブルフォワード陣形など、見ていてワクワクするプレーばかり。
内本・黒木ペアは初戦のモンゴル戦をストレートで快勝。
高橋・長江ペアもフィリピンペアを1で退け、両ペアとも2回戦へ。
2回戦からはいずれも強敵揃い。
高橋・長江ペアは韓国のムン・ヘギョン、パク・キュチョルのペアを相手に、ペースを掴めず0-⑤で完封負け。
選手個々の実力的にはもっと戦えたように思えますが、ミックスダブルスにおいては韓国選手のほうが経験の面で優っているのかも知れません。
ミックスダブルスは、どうしても男女でパワーやスピードの面に差が出るペアリングとなるため、それゆえの戦術の奥深さが魅力です。
パク・キュチョル選手は前回2015年大会でも、別の選手と組んでミックスダブルス優勝を果たしています(キム・エーギョン/)。
世界選手権では第12回(2003年)大会からミックスダブルスが導入されていますが、前回大会までの過去4回をすべて韓国ペアが優勝しています。
高橋選手、長江選手はそれぞれ翌日のダブルスにも出場予定なので、そこでの雪辱に期待がかかります。
内本・黒木ペアの2回戦も韓国ペアとの対戦。
キム・ジョンユン、イ・ジソンのペア。
ミックスダブルスで勝っている韓国や台湾ペアの特徴をみると、女子後衛と男子前衛の組み合わせが多いようです。
男子選手とも打ち負けない粘り強い女子後衛が絶妙な配球で展開をつくり、決定力のある男子前衛がポイントを狙います。
対して、今回の日本ペアは粘り強いストロークが持ち味の内本選手と、積極果敢なポジション取りで動ける黒木選手。
これは非常に面白い展開です。
息もつかせぬ白熱のゲーム展開で、ポイントごとに見れば相手の攻撃力に圧倒されるような場面もありましたが、内本・黒木両選手の驚異的なフォローと粘りのテニスで⑤-2の見事な勝利。
2人の気迫のこもったプレーには、見ていて何度も鳥肌が立ちました。
強敵への勝利に安堵したのもつかの間、つづく3回戦でも難敵台湾ペア。
後衛のクォ・チェンチー選手がつないで、前衛のチェン・ツォンウェン選手が積極果敢にボレー、スマッシュを狙ってコートを所狭しと動き回る。
ダブルフォワード発祥の台湾ペアだけに、柔軟な陣形も随所に繰り出します。
同じく台湾選手で昨年アジア競技大会でミックスダブルス初優勝を果たした、チェン・チューリンとユー・カイウェンのペアを彷彿とさせます。
ここでも驚異的な粘りは健在。
苦しい場面も跳ね返して、内本・黒木ペアの勝利!!
これでベスト4となり、メダル圏内が確定。
ここまできたら、あとは金メダルに向けて突っ走るのみ!
準決勝は前述のアジア競技大会ミックスチャンピオン。
台湾のチェン・チューリン、ユー・カイウェンペア
ここまでの勝ち上がりを見て、日本ペアの金メダル獲得に期待せざるを得ませんが、世界最強ネットプレイヤーの呼び声も高いユー・カイウェン選手の怒涛の攻めを前に防戦が続きます。
ゲームの主導権を握れないままストレートで敗退。
世界一の壁はやはり高い…
もう一方の準決勝には、高橋・長江を下した韓国のムン・ヘギョン、パク・キュチョル。
その相手には、女子シングルスでも金メダルに輝いた中国のシェ・スーチーのペアが上がってきました。
こうなると、シングルスで韓国選手を破って優勝したのもフロックとは言えません。
しかし、ここでは韓国ペアが格の違いを見せつけ、ストレートで勝利。
ミックスダブルスの頂上決戦は、韓国、台湾の実力ペア同士の顔合わせに。
昨年のアジア競技大会優勝に続いて、チェン・チューリン、ユー・カイウェンの台湾ペアが世界一の称号を得るのか。
はたまた、韓国ペアが勝てばパク・キュチョルは大会2連覇の偉業を達成。
さらにムン・ヘギョンは昨年のアジア競技大会決勝戦の借りを返すことに。
ミックスダブルス世界一を賭けた戦い、最後は韓国ペアに軍配。
これで韓国は男子シングルスに続く今大会2つ目の金メダルです。
世界トップレベルの技と力のぶつかり合い。
常に想像を越えていく試合展開、先の読めないメダルレースは翌日の男女ダブルスへと続きます。
過去記事:第16回 世界選手権(1日目)
第16回(2019) 世界ソフトテニス選手権大会 注目動画
2019世界選手権 ミックスダブルス/準決勝
内本隆文/黒木瑠璃華(JPN)対 余凱文(ユー・カイウェン)/鄭竹玲(チェン・チューリン)(TPE)
2019ソフトテニス世界選手権 DAY2ダイジェスト
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