昨年、「よかったら取材に来ていただけませんか?」という有難いお誘いを受け、ずっと行きたいと思っていたルネサンス棚倉。
のめさんには「なるべく早めにお返事しますね」と言いつつ、なんだかんだと調整がついて予定が確定したのはソフトテニスキャンプ開催の10日前くらいでした。
あらかじめ「行ける場合でも、家族旅行がてらチラッと覗きに行かせていただくつもりなので、もちろん交通費も宿泊費も自費で構いません」とはお伝えしていました。
そんな経緯から、妻も子供たちもこの1泊家族旅行を楽しみにしてくれていました。
3連休中日の出発なので渋滞に巻き込まれずにお昼前には現地に到着できるよう、「明日は早朝に出発するから」と子供たちを早めに寝かしつけ、私自身は遠足を待ちきれない子供のように、楽しみでなかなか寝付けません。
そして出発当日の朝。
予想外のハプニングが発生。
なんと、もうすぐ2歳になる娘が高熱を出してしまいました。
「嘘でしょ? 昨日まで平気だったじゃん!?」
何かの間違いだろうと計り直してみるも、やはり39度越え。
子供は親の都合を考えてから風邪を引くわけではありません。
子育ても2人目となれば、「こんなときに限って」というシチュエーションも、珍しいことではありません。
いずれにせよ、これではさすがに連れて行けません。
たとえ家族旅行ついでとはいえ、仕事も絡んでるし当日ドタキャンというわけにはいかないため、この時点で考えうる選択肢は2つ。
息子と娘をママに任せて、パパ1人で出発。
娘をママに任せて、息子とパパ2人で出発。
高熱の娘を看病しながら、息子までを2日間面倒見ててもらうのはママの負担も大きい。
なにより、この旅行を一番楽しみにしていた息子のガッカリする顔を思い浮かべたら・・・。
そんなわけで、思いがけない父子2人旅がスタートしたのでした。
もともと長距離運転が苦手な私は、福島までママと交代で運転しようとしていた目論見が外れ、急遽新幹線に計画変更。
それを聞いて、新幹線大好きの息子は大はしゃぎ。
「今回はママもいないんだから、ちゃんとパパの言うこと聞いてね。パパの仕事に協力するって約束してね」
「はいっ! わかりましたー!!」
返事だけは調子がいいのも父親譲りか。。
念願の「E5系はやぶさ」に初めて乗り込み、朝からゴキゲンの息子。
大宮からわずか1時間足らずで目的地の新白河に到着。
福島って案外近いのかも。
東北地方の玄関口であるこの白河は、古くから交通の要衝でした。
明治の新しい時代の幕明けにつながった戊辰戦争の激戦地でもある白河。
歴史好きを公言できるほど知識に自信はないですが、司馬遼太郎の主要な作品は押さえていますし、好きなテーマの大河ドラマは欠かさずチェックする程度の歴史ファンです。
ことに経営者には歴史好きの方が多いように思いますが、先人たちが残してきた数々の教訓や示唆に富む逸話など、人として、組織としてどうあるべきかを考えるうえでこれ以上の教科書はありません。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
先の見通しづらい不安な時代ほど、未来を知るための大きな手がかりにもなります。
学生時代は勉強嫌いで遊び呆けていた私を反面教師として、願わくば息子にはスポーツも勉強も好きになってもらいたいものです。
歴史上類を見ない勢いで白河の関を突破する、頼もしい我が子(笑)。
かの有名な松尾芭蕉も、この白河の地を踏んだあと約半年間をかけて奥州・北陸道を巡ったそうです。
その紀行記が言わずと知れた『おくのほそ道』
芭蕉に随行した河合曾良よろしく、私の旅のアシスタントもきっと大いに活躍してくれるでしょう。
一面の銀世界を前に、雪を見慣れない都会っ子のテンションはさらに上昇。
バス停で出会った、昔保育士をしていたという気の優しそうなあばあさんの話によれば、昨晩の雪で一気に積もったそうです。
メッチャ喜んでくれているし、なんだか無事にいけそうな気がするぞ。
私の頭のなかには、青春時代をともに過ごし、いまだに大好きなMr.Childrenの「CHILDREN’S WORLD」の軽快なメロディが流れてきます。
新白河駅から、目的地最寄駅の磐城棚倉まで路線バスの旅を楽しむこと小一時間。
そこからタクシーに乗ってすぐルネサンス棚倉に到着。
Webサイトで事前チェックしたときはややアクセスが不便なのかなと思っていましたが、予想以上にスムーズに到着できて一安心。
今回は、むしろ新幹線を選んで正解でした。
ルネサンス棚倉リゾートスポーツプラザ
想像していた合宿所のようなイメージではなく、まさにリゾートホテルといった綺麗な設備。
チェックインまではまだ少し時間があったので、フロントに荷物を預けてコートへ向かいます。
「おいおい! そっちじゃないぞー!」
これだけふかふかな新雪と、大好きな遊具を目にしたら我慢しろというほうが酷です。
あとでゆっくり遊んであげるから、まずはテニスコートに行ってパパのお友達にご挨拶しようね。
予定どおり午前中にコートに顔を出すことができました。
ソフトテニスキャンプは2日目に突入し、全国から集まった参加者たちの熱気に包まれています。
パパはちょっとお仕事してくるから、いい子で待っててね。
終わったらさっきの公園で遊ぼう。
あまりよくないとは思いながらも、こんなときばかりはスマホ育児に頼ります。
この日のために課金しておいた「スーパーマリオ ラン」。
いつもは1日15分という約束も、「今日は特別だからね。パパの仕事に協力してね」
「うん!(嬉)」
いつもはカメラ越しの選手たちに集中する意識を、ファインダーの外にいる落ち着きのない息子にも振り向けつつ。
私も小学校時代の通知表には毎回「落ち着きがない」と書かれ続けていましたので、「じっとしていろ」というほうが無理に決まっています。
しかも、どうやら迷子になるのが怖くないようで、普段外出先でも目を離すと平気で一人どこかへ消えてしまいます。
そうでなくても、突然「パパー!!」とか屋内コートに大声が響いても、真剣に練習している選手たちの邪魔になってしまいます。
今日はママのサポートがないので、こちらも気が気ではありません。
大変ありがたいことに、周りの親御さん方が気を配ってくださり、なんとかパパの仕事は無事にひと段落。
そんなパパの仕事の成果はこちら。
関連記事:東北ソフトテニスの聖地「ルネサンス棚倉」へ!(キャンプ視察編)
本当は滅多に聞けない篠原監督や高橋先生の講習を漏らさず聞きたかったところですが、今回は欲張らず最低限の仕事はできたので良しとします。
息子が退屈してしまう前にコートを後にして、約束通り公園で遊んでから温泉へ。
広々と気持ちのよいお風呂でリラックスさせていただいたら、風呂上がりはコーヒー牛乳で決まり!
「コウちゃん、いちごがいい!」
「え? 温泉のあとはコーヒー牛乳って決まっているんだよ。コーヒー牛乳にしようよ」
こういうとき、子供には勝てません。
いちご牛乳を仲良く半分ずつ。
まぁ、それくらいは好きにさせてあげなきゃね。
このルネサンス棚倉は、総合リゾート施設としてテニスコート以外にもグラウンドや体育館、さまざまな運動設備やアクティビティが充実しています。
トレーニングジムや温水プールも完備。
家族4人で来られたら、またさらに楽しかっただろうに。
それはまた次の機会にお預けということで、夕食の時間まで部屋に戻って束の間の休息。
・・・と思いきや、元気あり余る息子にせがまれ、家から持ってきたドラえもんのDVD鑑賞。
そしてパパは寝落ち。
のめさんのご配慮で、キャンプ参加メンバーとは別に家族水入らずでとご用意いただいた夕食。
ご馳走を前に舌鼓を打つ私の隣で、大好きなお子様メニューに目を輝かせる息子。
普段から少食な息子に、「どうせ食べきれないからポテトとハンバーグ、パパに半分ちょうだい」
「ダメ! コウちゃんが全部食べる!」
結局冷めたあとに食べ残しがまわってくるのが毎度のパターン。
だから最初からくれればいいのに・・・。
案の定、食べるのが遅いので、夕食後に行われた講習会にも少し遅れて参加。
これくらいは想定の範囲内です。
それでも幸いなことに、講習会が行われた研修棟には充実のキッズスペースが!
キッズスペースって、子を持つ親としては本当に助かるんです。
しかも今日は貸切状態。
「よかったね!!」
「パパはそこの部屋のなかにいるからね。何かあったらすぐ呼んでね」
これでじっくり講習が聞けるかと思いきや、5分おきに部屋の外から「パパ〜」と呼び出しがかかります。
ごめんよ。
欲張ったパパが悪かったね。
今回は講習の様子が撮影できただけで良しと割り切って、息子とのブロック遊びとボール投げに興じます。
その代わり、そのあとの交流会はどうしても参加したかったので、ここでも任天堂さん(スーパーマリオ ラン)のお力を借ります。
「今日は特別だから、いっぱいお菓子たべて、ジュース飲んでもいいよ」
ソフトテニス関係の皆さんとの楽しいひととき。
これだけでも来た甲斐があります。
「ここでしかお話できない人もいるから、ごめんね。でもコウちゃんのおかげでパパいっぱいお友達と話せたよ。ありがとね」
「でもパパ、なんでコウちゃんとはお話してくれないの!?(怒)」
・・・反省。
十分に楽しませていただいたので、少し早めに失礼させていただき部屋で一緒に「ミニオンズ」を見ながら就寝(パパは速攻で寝落ち)。
前日にしっかり取材できたので、キャンプ最終日となるこの日は観光中心に。
お世話になったのめさんにご挨拶して、せっかくならと再び温泉へ。
「帰る前に、お馬さんも見ていこう!!」
間近でみると、パパもドキドキしちゃうくらいデカイ!
「ほら怖くないから、近くで触ってみな」
まぁ、無理もない(笑)。
おっきくなったら、今度はお馬さん乗りに来ようね。
車で来ていればあちこち寄り道もできたのですが、今回は新幹線だったのでひとまず路線バスで白河駅へ。
新幹線の停車駅である新白河の隣駅、白河駅のすぐ目の前には白河小峰城があります。
寛政の改革で知られる松平定信も居城したという小峰城。
戊辰戦争白河口の戦いで落城しましたが、平成に入ってから三重櫓と前御門が江戸時代の絵図に基づき忠実に復元されています。
駅につくと、いくら観光名所とはいえ不自然なくらい人が多いことに気づきます。
バスの運転手さんに尋ねると、毎年2月11日に開催される「だるま市」が今日とのこと。
これはラッキー!
せっかくだから帰りの新幹線の予定を後ろ倒ししてでも、寄っていかない手はないでしょう。
どこまでも続く露店の列。
観光案内によれば、約700もの露店が立ち並び、15万人もの人出があるそうです。
帰りの予定も考えるとゆっくりもしていられないため、急ぎ人波をかき分けながら、だるまを探して突き進みます。
途中、一瞬息子を見失いかけ冷や汗をかきます。
「こんなところで迷子になったら絶対見つけられないから、絶対に離れちゃダメだからね。いなくなったらパパ置いて帰るからね」
「うん、わかった」
そういえば先日地元の川崎大師へ厄払いに行った際に、綿アメが食べたいと泣いてせがまれるも「今日はチョコバナナ買ったんだから終わり! 綿アメはまた今度!!」と説き伏せたばかりでした。
「よし、今日は特別だからチョコバナナと綿アメの両方買ってあげるよ」
どこまでも子供に甘いダメ親っぷりを発揮します。
でも、その前にちょっと写真だけ。
だるま市なんだから、だるまの写真がないと話になりません。
「綿アメは??」
「もちろん綿アメも買うけどその前にちょっと写真だけ撮らせて。 パパのお仕事のためだから協力して」
目的のだるま発見。
おおーこれは写真映えするなぁ。
「だるまさんが」という絵本が大好きな、今日来られなかった娘が喜びそうなおみやげはないかな。
そんなことを考えながらフラフラと店を覗いては、パシャ、パシャと写真を撮っていると、こともあろうか一瞬手を離してカバンの中身を取り出そうとした隙に、また息子を見失ってしまいました。
「おい! コウタロウ、どこいった!?」
「コウタロウ!!」
ちょうど十字路に差し掛かったところだったため、どちらに行ったのかさえ見当がつきません。
一瞬の出来事に、心臓が止まるかと思いました。
これは参った。
この人混みで迷子はマズい・・・。しかもこんな見知らぬ土地で。
相当に焦りましたが、この場合はこっちが動いたらアウトだ。
最悪の場合は運営本部に連絡して警察出動かと考えながら、十字路でじっと待つ数分がどれだけ長かったか・・・。
「パパぁ〜? どこー?」
泣きわめくでもなく、ケロッとした表情で目の前に戻ってきた息子。
「バカヤロウ!! だからあれほど離れちゃダメって言っただろう!!」
「だってパパ写真撮ってばっかりで、コウちゃんの綿アメ全然買ってくれないんだもん」
・・・。
うん。やっぱパパが悪い。ごめん。
ダメパパは深く反省し、そこから我が子の手を改めて強く握りしめながら、脇目も振らずに一緒に綿アメ屋を探します。
無事に綿アメをゲットしたかと思えば、今度は「おしっこ〜」
よし。すぐ駅まで戻るから、ちょっとだけ我慢な。
重い荷物を背負いながら、コウタロウを抱きかかえようとすると、
「大丈夫。コウちゃん歩けるから」
「パパまた写真撮ってるの?」
「大丈夫。ずっとコウちゃんのこと見てるから」
無事に駅で用を足し、寒空の下おいしそうな玉こんにゃくを仲良く二人で食べ、ぐるりと駅の反対側へまわって当初の目的の小峰城へ。
「お城の公園についたら綿アメ食べよう」
東日本大震災から8年。
崩れた石垣はまだ復旧作業の途中。
一昨年、熊本城を見に行ったときも同じ光景を目にしました。
8年経ってこれでは、熊本も完全に元に戻るのに一体どれだけの月日を要するのか。
自然災害の爪痕の大きさを目の当たりにして、改めて忘れてはいけないと胸に刻みます。
過去記事:平成29年度 全日本社会人ソフトテニス選手権大会(熊本ぶらり旅編)
新白河駅に移動して、新幹線を待つあいだ、のめさんに教えていただいた駅前の白河ラーメンのお店で遅めの昼ごはんにありつきます。
もちろん息子が食べ切れないのは承知ですが、本人がたくさん食べたいというので、1.5人前覚悟の強気の発注。
親子フードファイト大会を制して、今回の旅は完全制覇!
もうお腹いっぱいです。
帰りの新幹線では、3連休の帰路ということを頭に入れていなかった無計画なパパの失敗により指定席が買えず。
満員の車内で座席を変わってくれる心ある方々のおかげで難を逃れました。
大好きなE5系を降りて在来線に乗り換えた途端、電池が切れたように眠りこける可愛い我が子。
お疲れさま。
楽しい旅をありがとう。
最近、生意気な口をきくようになってきたし、すぐにふてくされる性格もパパそっくり。
心配性なママは、キミの発育のことで悩むことも多いけど、パパは何一つ心配していません。
たとえできないことも多くたって、キミの良いところをたくさん知っているし、成長を日々実感しています。
「その温度差がムカつく」と、またママの怒る声が聞こえてきそうですが、ソフトテニスにもパパの仕事にも興味がないママがこのブログを目にすることはないでしょう。
(本当は、好き勝手やるばかりのパパにあえて口出ししないようにしてくれているのも知っています。いつもホントにありがとう)
どんなに手を焼かされようが、これほど幸せな苦労はありません。
なかなか子供を授からずに夫婦で悩んだ時期を思えばなおさらです。
キミの存在そのものが、パパが頑張るモチベーションになっています。
テレビでは、目を覆いたくなるような児童虐待のニュースが流れています。
断じて許されるものではないですし、こうした事態には諸外国のように親権停止なども含め厳罰による対処を望みます。
ただ自分も子育て世代の当事者として、核家族化や共働き世帯の増加、育児環境の未整備などさまざまな要因により、自分たちの親の世代よりも子供を産み育てることが容易ではない現実があります。
社会全体で子供たちや、子育て中の親を守っていく必要があります。
いつか大きくなったキミが、このブログを読んだらどんなことを感じ、何を思うだろう。
そんなことを想像していたら、ついつい余計なこともあれこれ書いてしまいました。
話をまとめるのが苦手なので、このへんにしておきます。
長々と失礼いたしました。
親バカコラムに最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
この機会をいただき、現地でも大変お世話になったのめさん、ありがとうございました!
お陰さまで素敵な旅になりました。
今度は家族4人でお邪魔します!
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