待ち焦がれた柳葉敏郎チャリティー大会に参加するため、東京駅からの新幹線に乗り込み北の大地を目指します。
新幹線を使う機会は普段あまり多くないのですが、慣れないえきねっとで購入した切符を握りしめ出発ホームへ。
これが「こまち」かぁ。
あー見たことあるや!
ちなみに、まったくもって乗り物系に疎い私は、人が聞いたらビックリするくらい自動車の車種や鉄道の名前を知りません。
自分が乗る車両番号を辿っていくと・・・
あー!
こっちかぁ!!
そういえば、うちにもこの赤い新幹線のプラレールあったわ。
どうやら秋田新幹線「こまち」は、途中の盛岡までは東北・北海道新幹線「はやぶさ」と連結しているらしいです。
4歳の息子が聞いたら、「パパ、そんなことも知らないの?」と怒られそうです。
興味がないというのは恐ろしいものですね。
東京を出て約4時間。
目的地の秋田駅に到着。
秋田に着いたら名物を色々食べようと目論んでいたので、ひとまず駅ビルで「横手焼きそば」と「しょっつる焼きそば」をいただきます。
しょっつる(塩魚汁とも書く)は秋田名産の魚醤、つまりお魚から作られる醤油のようなものです。
自宅用にも一本おみやげとして買って帰りましたが、何にでもよく合うのでおススメです。
広い秋田を効率良く回るために、駅でレンタカーを借りて出発。
日本海沿いに一般道をひたすら北上すること1時間。
今回はじめて秋田に来るにあたり、どうしても訪れてみたかったのがここ。
その名も「なまはげ館」
なんとも魅力的な名前の施設です。
秋田県の北西部、日本海に突き出たツノのような形をした男鹿(おが)半島。
ここでは、その男鹿の歴史風土を学ぶことができます。
世間一般的に秋田といえば「なまはげ」というイメージが強いですが、実際にはこの男鹿地方で古くから受け継がれている伝統行事です。
もともと「男鹿のナマハゲ」として、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
ここでは総勢100体を超えるナマハゲが訪れた観光客をお出迎えしてくれます。
どーーーん!
今も大晦日の伝統行事として男鹿半島全域で行われているナマハゲですが、各地区ごとに仮面の造りや素材もさまざまです。
ここに並ぶ仮面や衣装は、実際にその各地域で使われているものだそうです。
男鹿市内で70にものぼる地区ごとに、ナマハゲの姿、形も違えば、風習、行事の進め方もそれぞれ異なります。
これは知りませんでした。
というわけで、ソフメシの独自審査によりお届けする「ナマハゲランキング」!
どうぞ!!
<第5位>
南国バリ島のお面を思わせるような、エキゾチックなナマハゲです。
かなり迫力がありますねぇ。
これは子供たちも怖がりそうです。
<第4位>
怖さのなかにもどこか愛嬌があるナマハゲ。
赤塚不二夫マンガに出てきそうな、個性的な顔立ちです。
<第3位>
こんなところに、キン肉マンに出てくる「ウォーズマン」の仮面がありました!
仮面の下はきっとロボットに違いありません。
「コー、ホー」
世代的に、分かる人だけ分かってください。
<第2位>
これは息子たちが通う保育園にも飾ってありそうです。
手作り感満載なところが親しみを感じさせて、高評価を獲得。
<第1位>
並み居る強敵を抑えて、堂々の第1位はこちら!
天然樹木そのまんま。
素材そのものの良さを生かして、自然のぬくもりを感じられるナマハゲです。
怖さを通り越して、哀愁すら漂います。
まさに十人十色。
人間にも個性があるとおり、同じナマハゲだからといって決して一括りにはできません。
<番外編>
この子をどこかで見たことがある気がしてならいのですが、どうしても思い出せません。
アニメだったか、ゲームだったか。
気になって夜も眠れないので、分かる方はどうかお知らせください。
ナマハゲの知られざる一面を垣間見つつ、知れば知るほどにその奥深さに惹かれます。
なまはげ館に隣接する「男鹿真山伝承館」では、実際になまはげ体験を味わえます。
ここでは真山地区で大晦日に行われている民俗行事を目の前で再現してくれます。
この建物自体も明治時代に実在していた男鹿地方の典型的な曲家(まがりや)民家を移築したものだそうで、雰囲気満点です。
ナマハゲの文化風習、しきたりについて丁寧に説明してもらえますので、ナマハゲ初心者にも安心です。
このあと生ナマハゲとご対面できるかと思うと、ドキドキとワクワクでテンションMAXに。
ナマハゲは決して不意に家に上がり込んでくるわけではなく、一緒に家々を回る案内役の人が先導してくれます。
「ナマハゲさんをお連れしたども、入っていいべかぁ〜?」(※)
(※)秋田弁や男鹿地方の方言は正確には分かりませんので、あくまで雰囲気としてお楽しみください
大きな声と、大きな音を立てて、ナマハゲの登場です!!
ちょっとしたホラーアトラクションくらいの迫力があります。
「泣く子はいねぇがぁ〜」
「怠け者はいねぇがぁ〜」
ナマハゲが家のなかを練り歩きます。
これ、これ!
はじめて体験するリアルナマハゲに、興奮と感動が抑えられません。
一通り部屋のなかを見回ると、神様であるナマハゲさんを家の主人が美味しいお酒やご馳走でもてなします。
ちなみにナマハゲさんは、なにも闇雲に子供たちを脅かして回っているわけではありません。
親の言うことを聞かない子供はいないか。
親の面倒を見ない嫁はいないか。
そうしたものを戒めるための見守り役として山から降りてきます。
家の中に隠れている泣く子を探し回るのも、せっかく神様が会いに来たのに泣いたり隠れたりしている子供は「何か隠し事をしていたり、やましいことがあるのではないか」ということのようです。
おもてなしの食卓を囲みながら、この一年間を振り返っての会話がはじまります。
「家族兄弟、みんな元気でやっでっか?」
「ええ、お陰さまで。子供たちももう小学生になっだでよ」
これまで抱いていたナマハゲのイメージが覆され、家のなかに温かな空気が流れるのを感じます。
日頃から地域の住人たちを見守っているナマハゲさん。
悪いことをしていたり、怠けている人がいないかどうかは「なまはげ台帳」でチェック済みです。
「おめえんとこの嫁さんは、最近カラオケばっかりいっで、じいちゃん、ばあちゃんの面倒を見でねえようだべ?」
「子供らも宿題さやらねぇで、ゲームばっかしでんじゃねぇが!」
普段から良い子にしていないと、ナマハゲさんにはすべてお見通しです。
そんな調子で、ナマハゲさんとの問答はつづきます。
わざわざ来てくれたお礼と、来年もお願いしますという感謝の念をお伝えして、ナマハゲさんは次の家に向かいます。
家に落ちた藁も、神様の落し物ということで縁起の良いものとされています。
家のなかはすぐに掃除をせずに大晦日の夜が明け、新年を迎えるまでそのままにしておきます。
この藁で輪っかをつくって、子供たちの頭が良くなるようにと頭に巻き付けて祈念したり、その土地土地で風習があるそうです。
私も御利益に預かろうと、藁を一本おみやげにいただいてラケットバックの中にお守りとして入れておきました。
無知な私は、「ただ子供たちを驚かす鬼に似た化け物」くらいの認識しか持っていませんでしたが、ナマハゲとその文化に触れてとても温かい気持ちになりました。
ナマハゲさんに対する見方も180度変わります。
ナマハゲとその起源には謎な部分も多く、どういう経緯で成り立ち現在まで根付いてきたのかは諸説あります。
その神秘的なところもまたナマハゲの魅力といえます。
全国的にナマハゲと似たような、仮面をつけた神様が家に来訪する祭祀行事は多く存在するそうです。
タイムリーなことに、たまたま私が訪れたこの翌週に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の補助機関が「男鹿のナマハゲ」をはじめとした8県10件の伝統行事で構成する「来訪神 仮面・仮装の神々」を無形文化遺産に登録するよう勧告されました。
年内には正式に登録される見込みのようですので、「ナマハゲブーム」到来の予感です。
なまはげ館
時間さえあれば、八郎潟や田沢湖、乳頭温泉郷など他の観光地もいろいろ巡ってみたかったのですが、残念ながら半日ではとても回りきれません。
魅力いっぱいの秋田観光は、また改めて機会をつくることにします。
なまはげの話に力が入りすぎて試合そっちのけになっていますが、今回はあくまでソフトテニスの大会に参加するために来ています。
翌日の試合会場の最寄りである大曲駅のそばに宿をとりました。
花火大会で全国的に有名な大曲。
その駅にも花火をあしらった装飾が施されています。
駅のそばにあった地元の人が通うような居酒屋を見つけて、秋田の名物料理を堪能します。
比内地鶏に、じゅんさい、川ガニの甲羅焼き。
きりたんぽ鍋にハタハタの塩焼き。
ハタハタ寿司、鮭の紅葉漬。
シメは納豆汁にいぶりがっこ。
これがまた秋田のおいしいお米に合うこと!
あー、思い出してまた食べたくなったー!!
これでもかというくらいの秋田名物オンパレードに、もはや試合の前日ということを忘れてひたすら食べ尽くします。
秋田サイコー!!
翌日、ホテルの窓から見た朝焼け。
都会でせわしくなく日々を過ごしていると、自然に囲まれてゆったりとした時間の流れのなかで過ごす生活に憧れを抱きます。
逆に、過疎の進む地方の若者たちが都会の生活に憧れる気持ちも分かります。
所詮は「無い物ねだり」
隣の芝は青く見えるのでしょう。
朝もホテルのビュッフェで朝食。
ビュッフェやバイキングというものに目がない欲張りな私は、ここでもつい食べ過ぎてしまいます。
チェックアウトを済ませ、ホテルからタクシーで15分ほどで会場の大仙市総合公園に到着。
前日は観光を堪能し、試合当日は大好きなソフトテニスに興じます。
このチャリティートーナメントは、ギバちゃんこと俳優の柳葉敏郎さんと秋田県ソフトテニス連盟が主催し、秋田近県から多くのソフトテニス愛好者が参加します。
なかには私のようにわざわざ遠方から押しかける柳葉さんファンのソフトテニスマニアも。
勝ち負けよりも、純粋にソフトテニスを楽しむこうした機会も大変貴重なものです。
試合の合間には、柳葉さんがサインや写真撮影にも気さくに応じていただけます。
やはり大スターはオーラが違います。
テレビや映画で拝見していたとおり、周囲を明るく盛り上げる太陽のような方でした。
お会いできて感激です。
テニスコートに隣接して、スキー場も。
小さい頃からスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツにも日常的に慣れ親しむことができるのは、北国の特権ですね。
この日はお昼ごろから快晴で、10月も半ばというに日中は少し汗ばむくらいの陽気でした。
会場にはこれまた秋田名物の「ババヘラアイス」
おばちゃん:「なんでババヘラって言うか知っているかい?」
わたし:「さぁ?」
おばちゃん:「ババがヘラで盛り付けるからだよ」
わたし:「じゃあ、これはお姉さんが作っているから、ババヘラじゃないですね」
おばちゃん:「はい、どうぞ」
渾身のお世辞も、熟練のおばさまには通用しません。
楽しかったチャリティー大会も終わりを告げ、タクシーで駅まで向かう途中。
「ここが大曲の花火大会の会場だよ」と、タクシーの運転手さんが教えてくれます。
見晴らしの良いその河原は、確かに花火大会にもってこいです。
橋の片側だけブラインドフェンスが設置されているのも、花火大会の際に観客が橋の上に立ち止まらないようにとの措置だそうです。
2005年の市町村合併で大仙市となった大曲ですが、大曲だけで人口40,000人程度のこの町に、花火大会では80万人の観光客が来場するというのだから驚きです。
全国花火競技大会「大曲の花火」
無事に大会を終えたあとは、関係者での慰労会。
秋田県ソフトテニス連盟の萬会長、加藤理事長のご挨拶にはじまり、柳葉さんのスピーチなど終始和やかムードで会が進みます。
秋田パイロットクラブを通じて寄付される大会収益金の贈呈も。
秋田パイロットクラブ
http://akita-pilotclub.us/
寄付されたお金は、子供たちにヘルメットを購入することに充てられます。
おもむろにヘルメットを試着する加藤理事長に、一同大爆笑。
大会運営者のみなさまの心が通った、とても素敵な大会でした。
秋田県ソフトテニス連盟のみなさま、柳葉さん、大変お世話になりました。
この場を借りて改めてお礼申し上げます。
帰りの新幹線の都合で、後ろ髪を引かれつつも一足先に失礼させていただきました。
一度では味わい尽くせない、魅力いっぱいの秋田。
また家族で遊びにきたいと思います!
過去記事:柳葉敏郎チャリティーソフトテニストーナメントに参加しました!
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