日本列島を桜前線が駆け上がり、各地に満開の花を咲かせていくのと時を同じくして、待ちに待ったソフトテニスの球春到来です。
高校生の春の日本一を決めるセンバツが、名古屋の日本ガイシスポーツプラザで開催されました。
この大会は3月28・29・30日の3日間をかけて行われ、地方予選を勝ち抜いた男女それぞれ36校で争われます。
初日は1回戦とシード校を除く2回戦まで、2日目はシード校の初戦となる2回戦と3回戦、最終日の3日目にはベスト8による準々決勝以上というスケジュールです。
今回私が見に行ったのは最終日でした。
女子は昨年のインターハイ、国体を制した文大杉並(東京)が、初戦で就実(岡山)に破れる波乱含みの展開。
文大杉並は直前の全国私学団体でも優勝しており今大会でも優勝候補の一角でしたが、混戦の女子はまさに群雄割拠の様相です。
男子は前評判どおりに4本シードが順当に勝ち残りました。
準決勝は、羽黒(山形)と上宮(大阪)、高田商業(奈良)と東北(宮城)という顔合わせです。
センバツ3連覇を狙う高田商業か。
はたまたセンバツの前哨戦、2月のアゼリアカップでその高田商業を抑えて優勝した羽黒か。
前週の全国私学で団体個人2冠の東北も有力候補で、どこが勝ってもおかしくありません。
今大会第1シードの羽黒は、追われる側のプレッシャーなのか昨年のインターハイのような向かっていくテニスが見られず準決勝で上宮に0-②で敗退。
やはり、この強豪ひしめく全国の舞台で頂点に立つことはたやすくありません。
もう一方のヤマでは、東北が高田商業の連覇を阻む見事な勝利をあげ決勝戦へ。
息もつかせぬ好ゲームの連続に、見ているだけのこちらがハラハラドキドキです。
女子のベスト4は連覇を狙う第1シードの三重(三重)と、それを追う山陽女子(岡山)、和歌山信愛(和歌山)、昇陽(大阪)。
先日の都道府県全中でも、女子の決勝戦は山陽女子中単独チームの岡山県と、昇陽中単独チームの大阪府の決勝でした。
両校ともに、中学も高校も全国優勝を争う位置にいるというのが凄いです。
中高一貫で一緒に練習して強化しているのでしょうか?
下の世代のうちから先を見据えて強化しているのであれば、この先さらに強くなりそうで注目です。
過去記事:平成29年度 都道府県対抗全日本中学生ソフトテニス大会(2日目)
センバツのみどころとして、日本一を目指す高校生たちによるハイレベルな試合はもちろんですが、チームごとの円陣や応援のスタイルにも学校それぞれのカラーがあり、見ていて面白いです。
やはり、全国屈指の強豪校。
応援には迫力がありますし、コートでプレーする選手もスタンドで応援する控えの選手も、チーム全員が一丸となって戦っています。
こうしてみると、ソフトテニスは硬式テニスと比べてかなり異質です。
私はもともと、ソフトテニスと硬式テニスは似て非なるまったく別のスポーツだと考えています。
硬式の人から見たら、軟式の応援や掛け声は品がないのかもしれませんし、確かに紳士のスポーツとは言い難いです。
でも、この『熱さ』こそが、ソフトテニスの大きな魅力に違いありません。
私のなかでは硬式テニスは個人競技、ソフトテニスは団体競技、チームスポーツというイメージがあります。
これだけ選手と応援が一緒に盛り上がって一体感のあるスポーツも、考えてみるとなかなか珍しいのではないでしょうか。
軟式と硬式で、お互い良いところは尊重して取り入れていけばいいですが、同じである必要はありません。
どうしてもメディアへの露出という面でメジャースポーツである硬式テニスに分があるため、それに感化されがちなのも理解できます。
それでも、ソフトテニスならではの魅力も忘れたくないものです。
インターハイやセンバツなどの大きな大会をまだ直接観戦したことがないという方は、ぜひ一度会場でその熱を体感してください!
きっともっとソフトテニスが好きになります。
2面展開で行われた上宮と東北の男子決勝戦。
日本一をかけた一戦は、上宮の1番中西・田中ペアが、思い切りのよいテニスで東北の北野・鈴木ペアに先勝。
中西・田中ペア(上宮/大阪府)
先日の全国私学個人戦で優勝した東北のエースペア水木・福田が2番を取り返して1-1。
水木・福田ペア(東北/宮城県)
3番勝負では、東北のダブルフォワードの小倉・檜山ペアが、終始安定したプレーで完勝。
東北がセンバツでは4年ぶりとなる5度目の頂点へ。
平成29年度(2018) 第43回 全日本高等学校選抜ソフトテニス大会 男子決勝 対戦結果
上宮(大阪府) | vs | 東北(宮城県) |
---|---|---|
中西・田中 | ④ー2 | 北野・鈴木 |
上谷・小岸 | 1ー④ | 水木・福田 |
瀬戸・中谷 | 1ー④ | 小倉・檜山 |
夏のインターハイ、秋の国体を合わせた高校団体3冠に向けて好発進を切りました。
同じく2面展開の女子決勝戦。
三重と和歌山信愛の対戦です。
ここまで1本も落とすことなくストレートの完勝で勝ち上がってきた三重。
それに対して、アゼリアカップではその三重を破って優勝を果たした和歌山信愛も食い下がります。
今回、直接会場で熱戦を見ていて、ひときわ印象的だったのが三重高の大応援団です。
控えの選手からOB・OG、保護者まで、一糸乱れぬその応援姿は圧巻でした。
三重は女子も近年力をつけてきて、これまでセンバツ優勝経験は2回ありますが、男子もセンバツ過去9回優勝のソフトテニスでは言わずと知れた伝統校です。
応援だって相当な練習をしなければあそこまで揃わないはずです。
やはり、日本一になる学校は応援も日本一です。
眺めていて爽やかな感動をいただきました。
カッコイイ応援コールを耳にすると、その後しばらく頭を離れずふと口ずさんでいる自分がいます(ソフトテニスあるある)。
仲間の心強い声援を受けて躍動する選手たちは、終始ハツラツとしたプレーで会場を沸かせます。
ダブル後衛も少なくない高校女子のなかにおいて、前衛のポイント力は群を抜いていた印象です。
竹田・藤城ペア(三重/三重県)
勝田・石田ペア(三重/三重県)
平成29年度(2018) 第43回 全日本高等学校選抜ソフトテニス大会 女子決勝 対戦結果
三重(三重県) | vs | 和歌山(和歌山県) |
---|---|---|
竹田/藤城 | ④ー2 | 多田/岩﨑 |
勝田/石田 | ④ー3 | 松井/川﨑 |
花尻/髙場 | ー | 浅倉/岡田 |
嬉しい嬉しいセンバツ連覇で、夏への弾みをつけました。
平成29年度(2018) 第43回 全日本高等学校選抜ソフトテニス大会 試合結果
愛知県高体連ソフトテニス部 > 2017 大会予定・結果
春のセンバツが終わるとすぐ、各校とも新入生を迎え入れた新チームとして、夏のインターハイに向けて本格始動します。
今年のインターハイ・ソフトテニス競技は、7月30日から8月6日に三重県鈴鹿市で開催です。
全国高等学校体育連盟 > 2018 彩る感動 東海総体
その夢舞台に立つための各都道府県予選は、もうすぐです。
今年の夏には、またどんな新しいドラマが見られるのか楽しみです。
なお、来年度から2年間は、これまでセンバツ大会に使用してきた日本ガイシスポーツプラザがアジア大会に向けた改修工事に入るため、熱戦の舞台は豊田市のスカイホールに移ります。
個人的には、約20年ぶりの名古屋でした。
今回はほぼ日帰りだったので、ゆっくり観光というわけにはいきませんでしたが、抑えるべきところはちゃんと抑えています。
思ったよりも近かった名古屋。
また来ます!
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