日本でも桜のジャージーを纏った選手たちが大活躍し、多くの国民を熱狂の渦に巻き込みました。
4年に1度、世界一を決める大舞台。
そんな熱い戦いはラグビーだけではありません。
時を同じくして、ソフトテニスの世界一を決めるワールドチャンピオンシップが開幕。
各国代表選手たちが中国は浙江省台州に集い、5日間に渡る熱戦が繰り広げられました。
今回の世界選手権の開催日程は以下のとおり。
・10月27日 個人戦 シングルス
・10月28日 個人戦 シングルス(準決勝以降) / ミックスダブルス
・10月29日 個人戦 ダブルス
・10月30日 団体戦 国別対抗
・10月31日 団体戦 国別対抗(準決勝以降)
その熱戦の模様を1回のブログ記事にまとめるのはあまりにも無理があるため、今回から5回に渡ってレポートしていきます。
興奮と感動のお裾分け、ソフメシ総力レポートをどうぞお楽しみに!
ソフトテニスでは4大国際大会といわれる大きな大会が原則として1年ごとに開催されており、世界選手権、アジア競技大会、アジア選手権、東アジア競技大会がそれにあたります。
昨年インドネシアで行われたアジア競技大会は、アジアオリンピック評議会が主催しアジア版オリンピックとも呼ばれます。
オリンピック種目ではないソフトテニスにとって、そこで行われるソフトテニス競技はもっとも権威の高い大会の一つ。
一方、世界ソフトテニス選手権大会は、国際ソフトテニス連盟(ISTF)が主催して1975年にスタート。
現在は4年に1度開催されるソフトテニスではもっとも歴史の長い国際大会です。
多くのスポーツでオリンピックとワールドカップがそれぞれ世界の覇を争うビッグタイトルであるのと同様に、ソフトテニスでもアジア競技大会と世界選手権がその最高峰に位置付けられます。
会場である台州市テニスセンターは、初日からあいにくの雨。
今大会のために改修された立派なセンターコートで行われた開会式も、小雨が降る寒空の下行われることとなりました。
今回の世界選手権には26カ国が参加。
ヨーロッパやアメリカなどアジア地域以外からも参戦しています。
チャイナパワーを感じさせる盛大な開会式も終わり、いよいよ競技開始。
近年の国際大会はハードコートで行われますが、ハードの場合はサーフェイスが濡れると試合ができません。
オムニコートのように小雨決行というわけにはいかないため、併設する室内コートに場所を移して試合が行われます。
インドアに入ると、すでに日本代表選手たちがウォームアップしていました。
みなぎる闘志、どの選手たちも戦闘準備は万端のようです。
頑張れ、ニッポン!!
初日は個人戦シングルスのベスト4まで。
つまりこの段階でメダル獲得選手が決まります。
日本からのシングルス出場選手は、男女2名ずつ。
先陣を切ったのはこの人。
尾上胡桃選手。
昨年のアジア競技大会に続いての代表入りを果たし、自身も重きを置いているシングルスで世界一を狙います。
しかし、第1試合から思わぬ苦戦を強いられます。
対戦相手は北朝鮮の選手。
韓国、台湾の選手たちと比べると事前情報に乏しいのですが、それら強豪国の選手たちに引け劣らない実力を持ち合わせています。
ヒヤリとする場面もありましたが、初戦をファイナルで勝利。
さすがは簡単に勝たせてもらえない国際大会。
見ているこちらにもその緊張感がひしひしと伝わってきます。
今回のシングルスでは「思いやりドロー」が適用され、いわゆる3強国である日韓台はトーナメント左側の山に集められ、それ以外の国にもメダル獲得のチャンスが与えられるよう配慮されています。
普段目にする機会が少ない欧米の選手たちの試合を見られるのも世界選手権ならではですが、とくにシングルスにおいては硬式テニス出身の選手も多いことから、レベルは想像以上に高いです。
驚いたのは、その3強国以外の選手たちのレベルの高さ。
シングルスにおいては、フットワークや配球、サービスなどの面においてむしろ硬式テニスのほうに一日の長があるように思います。
日本、韓国、台湾の牙城を崩す選手の登場も、そう遠い未来ではないと感じます。
初戦から簡単に勝てる試合は一つもない状況ですが、そのなかでも今回シングルスに出場した日本選手たちは着実に勝ちを重ねていきます。
韓国、台湾の注目選手たちも順当に勝ち進むなか、個人的には上位進出を予想していたのが台湾の陳郁勲(チェン・ユーシュン)選手。
17歳で出場した昨年のアジア競技大会でも、日本の長江光一選手、船水颯人選手を追い詰めたのは記憶に新しいところ。
その後ジュニアの国際大会でも大活躍しています。
今回は3回戦で第1シードの韓国キム・ジヌン選手に2-④で敗れましたが、今後も注目の選手です。
思いやりドローの関係もあって、日本勢は序盤からいきなり強敵とも当たります。
女子シングルスの2回戦。
林田リコ選手と韓国イ・ミンソン選手との対戦。
いきなりハイレベルな試合が繰り広げられますが、今年も代表予選会を優勝(/島津佳那)し、全日本シングルス、皇后杯と国内主要タイトルを総ナメして今や日本女子の絶対的エースとなった林田選手が勝利。
男子の3回戦では、こちらも代表予選会を優勝(/内田理久)した内本隆文選手が韓国のユン・ヒョンウク選手と対戦。
3年前に千葉で行われたアジア選手権のシングルスでも金メダルに輝いた内本選手。
シングラーとしての実績も折り紙つき。
互いに譲らず一進一退のゲーム展開。
内本選手も持ち前の粘り強いラリーからの果敢な攻めで流れを引き寄せたかに思えたゲームカウント2オールからの5ゲーム目デュース。
インと思われた判定が相手選手の抗議で覆るなんとも言えないジャッジもあり、接戦を落とす悔しい敗戦。
紙一重の勝負でしたが、惜しくもメダルには届かず。
他の日本代表3選手にメダル獲得の望みが託されます。
続いて入った女子の準々決勝。
隣り合わせのコートで尾上胡桃選手は韓国のソン・ジヨン選手と、林田リコ選手は台湾のロ・スーティン選手との対戦。
お互い勝てばメダル圏内のベスト4確定で、翌日の準決勝での日本人同士討ちが実現します。
安定感のあるテニスで林田選手が台湾選手を退け準決勝へ駒を進めます。
そして尾上選手は今大会第1シードの韓国ソン・ジヨン選手と実力伯仲の好勝負。
フィジカルの強さが際立つ韓国選手のなかにあって、ソン・ジヨン選手は意外なほど細身ですが、それでもやはりパワーと精密さを兼ね備えたストローク。
じりじりと尾上選手を追い詰めます。
尾上選手も食らいついて善戦するも2-④で敗退。
メダルまであと一歩でしたが、ここはライバル韓国の勝利。
そしてその直後には、この日のクライマックス。
男子シングルスの4回戦となる準々決勝。
メダルと2日目への勝ち残りを賭けて、日韓の両雄が激突します。
昨年インドネシア、パレンバンから続く因縁の対決。
日本のプロ選手第一号として実力、人気ともに圧倒的ナンバーワンの船水颯人選手。
悲願のシングルス世界一に向けて、この韓国キム・ジヌン選手を避けては通れません。
アジア競技大会のときは、個人戦シングルスの予選でまさかのストレート負け。
リベンジを期した国別対抗決勝戦のシングルスでは、死闘を演じるも2-④での惜敗。
過去記事:第18回アジア競技大会(国別対抗-後編)
https://sofumeshi.com/2018/09/asian-games-softtennis_team2/
韓国代表選手はもともと実質的にプロとして競技している選手がほとんどとはいえ、船水選手もプロとして臨む最初の国際大会ということもあり、是が非でも負けられない一戦です。
4年前の世界選手権でもシングルス優勝を果たしており、国際大会でも負け知らずのジヌン選手。
その正確無比なストロークはまさに精密機械。
ディフェンシブな試合運びが多いジヌン選手ですが、相手からの攻めのボールに対しては、ネット際に鋭く落ちるカットスライスなどで巧みにカウンターを仕掛けてきます。
さすがの船水選手でさえ、そう簡単には打ち崩せません。
お互いに我慢のプレーが続くなか、船水選手も前回以上に果敢な攻めを仕掛けます。
決まったと思ったボールをひたすらに拾いまくる両者。
まさに超人的なフットワーク。
ファイナルまでもつれた戦いは、最後はキム・ジヌン選手に軍配。
またしてもこの男が壁として立ちはだかりました。
船水選手だからこそここまでジヌンを追い詰める展開となりましたが、あそこまで戦ってなお勝てないとなると、正直このジヌン選手の底が知れません。
これが世界の壁なのか…
ただ、対戦を重ねるごとにジヌン攻略の精度が上がっているのも見て取れるので、次の対戦こそは「四度目の正直」となることを願っています。
大会初日から国際大会ならではの真剣勝負、息もつかせぬハイレベルなプレーの連続。
やはり現地まで見に来た甲斐がありました!
大会2日目へつづく。
第16回(2019) 世界ソフトテニス選手権大会 注目動画
2019世界選手権 男子シングルス/準々決勝
船水颯人(JPN)対 キム・ジヌン(KOR)
2019ソフトテニス世界選手権 DAY1ダイジェスト
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