全小、全中、インハイ、インカレ・・・
毎年夏には各カテゴリーのソフトテニス日本一を決める大会が行われます。
スター選手たちの活躍や、ニューヒーロー、ニューヒロインの誕生などそれぞれに熱いドラマが展開されるわけですが、そんな熱戦は何も学生だけに限りません。
全日本レディース、全日本シニア、全日本クラブ選手権など、個人戦から団体戦まで大人になってからも各カテゴリーごとに日本一を争う全国大会があります
そのなかでも社会人のNo.1ペアを決めるのが、毎年9月に行われる全日本社会人ソフトテニス選手権。
今年の開催地は山形県。
厳しい予選を勝ち抜いた実業団や社会人クラブチームの選手たちが全国から集まりました。
昨年度からこの全日本社会人には新たに「45男子・45女子」という種別が加わりました。
それまでは全日本シニアに属していたカテゴリーが全日本社会人に移行され、50歳より上からがシニアの大会となりました。
そうした背景もあり大会規模もますます大きくなったこの全シャカ。
今回は一般男子が山形市、一般女子と35男女の初日が天童市(2日目勝ち残りは山形市会場)、45男女が酒田市と県内各所で分散開催となりました。
実は今回は私も35男子の部に出場していたため、大会初日は天童市会場で試合をしていました!
その話を始めたらキリがないので、また次回に(笑)。
順当に(?)初日で試合を終えた私は、翌日は観戦デー。
大会2日目は一般男女と35男子の勝ち残りが、山形市総合スポーツセンターに集まりました(*)。
(*)今回35女子はエントリー数が少なく初日のみ。
総勢307ペアがエントリーした一般男子は、3回戦までを勝ち抜いたベスト64のペアから2日目スタート。
全国的に実績のある有名選手たちがひしめくトーナメントのなか、第1シードに座るのは大会2連覇中の丸中・長江ペア(広島/NTT西日本)。
今年10月に中国で開催される世界選手権の日本代表にも選ばれている2人。
3連覇に向けて、今大会でも安定した勝ち上がり。
しかし、今大会ではその丸中・長江をも上回って優勝候補の筆頭に挙げられるペアがエントリーしています。
同じく世界選手権の日本代表、船水・中本ペア(東京/ヨネックス・福井/福井県庁)。
この春、早稲田大学を卒業してその去就が注目されるなか、日本ソフトテニス界初のプロ選手として活動をスタートした船水颯人選手。
社会人1年目なのでこの全日本社会人は初参戦ですが、学生時代に天皇杯を2度優勝(2016/星野慎平,2018/上松俊貴)、アジアチャンピオンにも輝いた船水颯人選手。
人気、実力ともに現在のソフトテニス界最高峰というのは誰もが認めるところ。
さらに今回ペアを組む中本圭哉選手も、NTT西日本広島時代に村上雄人選手とのペアで全日本社会人を2回制しています。
船水颯人プロのTwitter情報によれば、今回は中本選手の現ペアの鈴木琢巳選手が身内の結婚式で出られないとのことで実現したこのドリームペア。
9/14-15
全日本社会人選手権@山形
船水・中本で出場します!
国内でのダブルス出場は4ヶ月ぶりになりますが、頑張りたいと思います✌️※色々と憶測が飛び交ってますが、鈴木さんが身内の結婚式の為、中本さんとペアを組んで頂くことになりました😊
— 船水 颯人 / Hayato Funemizu (@hayato_no) September 8, 2019
大注目の2人の試合には、毎回多くのギャラリーが観客席に詰めかけていました。
ソフトテニスファンのなかでは以前大きな話題になりましたが、「プラカードの少年」のエピソードをご存知の方は、このドリームペアの実現に心を震わせたに違いありません。
まだご存知ない方は、ソフトテニス・マガジン・ポータルの以下に詳しく掲載されていますので、ぜひご一読ください。
ドラマすぎる天皇杯決勝の実話『プラカードの少年』をしのとさんがマンガに
どこまでもドラマのような生き様を地で行く船水颯人プロ。
まさにソフトテニス界100年に一人の逸材であり、スーパースター。
これで注目しないほうがおかしいです。
とはいえ、周囲の注目や期待が膨らむなか、「勝って当たり前」というプレッシャーだって少なからずあるはずです。
この大会自体に賞金がかかっているわけではありませんが、所属契約しているヨネックスをはじめ多くのスポンサーとの契約も考えれば、プロ選手として負けるわけにはいきません。
そのうえさらに、どの対戦も打倒船水・中本で向かってくるペアを相手にしなければなりません。
それでもファンの期待に応えるべく、そのスーパープレーで何度もギャラリーをどよめかせていました。
考えてみると当たり前の話なのですが、たとえばインターハイチャンプにしても、10年経てば10組のインハイチャンプがいるわけです(もちろん連覇というケースも中にはありますが)。
社会人の全国大会ともなれば、歴代のインハイ・インカレ優勝者、さらには天皇杯・皇后杯チャンプやら現ナショナルチームメンバー、元日本代表などなど・・・
とんでもない人たち同士が頂点を争うわけで、その試合が面白くないわけがありません。
増田健人・九島一馬ペア(和歌山/和歌山県庁・大阪/ミズノ)
安藤優作・田口将ペア(東京/東京ガス)
村田匠・林湧太郎(広島/NTT西日本)
鹿島鉄平・星野慎平(宮崎/都城市役所・京都/京都第二赤十字病院)
学生時代から代表入りしたり、日本一を獲得するような有力選手たちが新社会人として迎える最初の全国大会というのも全シャカの見どころ(*)。
(*全日本シングルスは除くダブルスの大会として)
有名選手たちがどこの実業団・クラブチームに進むのか、誰とペアを組むのかなど、ドローを眺めるだけでも飽きません。
最近ではソフトテニスYouTuberの活躍もあって、YouTubeでお馴染みの選手も。
選手自身がTwitterなどのSNSを通じて情報を発信していたり、なかには選手自身がYouTubeチャンネルを運営しているケースもあったりして、ひと昔前に比べてはるかに選手が身近な存在になりました。
ソフトテニス競技を「見るスポーツ」としてより発展させていくためにも、この流れはぜひ今後も継続して欲しいものです。
岡本光生・加藤顕成ペア(広島/広島翔洋クラブ)
森田祐哉・工藤浩輔(宮城/MoriMoriクラブ)
鯨井勇輝・堂野貴寛(埼玉/日本信号・アキム)
観ている側からしても好きな選手や憧れの選手など、ファンとして応援しやすい時代になりつつあります。
そういうわけで、注目選手を挙げればキリがないのですが、とにかく注目の選手や対戦カードが目白押しな本大会。
とても体が一つでは足りません(嬉し泣き)!
同じ会場で開催された一般女子の2日目はベスト16から。
当然女子もナショナルチームの選手、日本リーグや皇后杯などで活躍している選手が目白押し。
最近では、数は少ないものの新しい実業団チームの誕生や、積極的に情報発信してくれる女子実業団チームも増えてきて、良い循環が生まれそうな気配を感じます。
個人的にも、スポーツナロチャンネルの絡みなどもあってお仕事でご一緒させていただいた選手や、国際大会で応援していた選手など、大ファンな選手がどんどん増えていってしまい、困ります(笑)
徳川愛実・黒木瑠璃華(東京/ヨネックス)
志牟田智美・泉谷朋香(兵庫/東芝姫路)
横山温香・大槻麗(愛知/東海市連盟・福島/ダンロップ)
早川日向・芝崎百香(東京/ナガセケンコー)
花泉美・濱村紗和(東京/ナガセケンコー)
観たい試合を全部見るためには、体が最低あと10個くらいは必要です。
女子も見どころ満載ですが、とくに目を引いたのは今回ベスト8に2ペア、3位に1ペアと軒並み上位に食い込んだナガセケンコー。
もともと女子実業団屈指の名門チームですが、今年は野口英一監督の就任や、阿部悠梨監督の選手復帰など話題性も抜群。
チームとしても上昇気流にあることが、結果からも伺えます。
本当に見どころが尽きない今大会。
注目ペアの試合が入るコートには、私も取材撮影に手間取るくらい人だかりがあって嬉しい限り。
できればこうした一流選手たちの試合を、ぜひとも一人でも多くの人に生で観てもらいたいです。
圧倒的な注目度、船水颯人プロの人気は揺るぎませんが、今大会にはそれに匹敵するくらい人気の選手も登場していました。
そうです!
今やソフトテニスをしている中高生で知らない人はいない、あゆタロウちゃんねるのあゆタロウ選手でございます!!
今回は同じくソフトテニスYouTuberの“T橋”選手と組み、見事2日目に勝ち残っています。
すでに現役は退いたとはいえ、かつて強豪実業団の厚木市役所に所属し、日本リーグにも出場していたほどの実力選手です。
もしかしたら実業団のとき以上にテニスをしている可能性はありますが、全日本社会人でここまで勝ち上がってくるところはさすがです。
全日本社会人でベスト16以内に入ると天皇杯・皇后杯の出場資格を得られるので、もしかして天皇杯でもあゆタロウを観られるかもと思いましたが、4回戦で我らがチーム埼玉の鯨井・堂野ペアの厚い壁に阻まれて敗退。
それでも全国大会のベスト64はさすがの一言。
船水颯人プロと並び、数少ない「客を呼べるソフトテニス選手」として、これからも活躍を期待しています、石黒選手!
じゃなかった、あゆタロウ選手!!
激戦のトーナメントもいよいよ佳境へ。
ベスト4を賭けた準々決勝では、船水兄弟対決が実現。
現在日本リーグを9連覇中のNo.1実業団チーム、NTT西日本に所属する兄の船水雄太選手。
社会人1年目の2016年には、高校・大学でもペアを組んでいた九島一馬選手(現ミズノ)とともに、全日本社会人優勝を果たしています。
今回ペアを組む広岡宙選手も、NTT若手の有望株であり言わずと知れた国内トップクラスの前衛。
相当に面白い試合でしたが、結果は④-2で弟ペアに軍配。
一方、実力拮抗でどこが抜け出るか読みづらい混戦模様の女子トーナメントは、第1シードの中川・阿部ペアをヨネックスの徳川・黒木ペアがゲームカウント④-2で退け決勝へ。
一般女子/3位
中川瑞貴・阿部悠梨(東京/ナガセケンコー)
もう一方の山では、ヨネックスの大井・菊池ペアが横山・大槻ペアをあと一歩まで追いつめ、同士討ち決勝かとも思われましたが、ともに過去別のペアで優勝経験のある横山・大槻が逃げ切って決勝進出。
一般女子/3位
大井樹来・菊地はづき(東京/ヨネックス)
ともに今年度ナショナル入りしている前衛同士の応酬は見応えありましたが、今回は横山温香選手の安定感のあるストロークと大槻麗選手の果敢な攻めがことごとく噛み合い、徳川・黒木ペアにとっては常にリードを許す苦しい試合展開。
最後は④-1で横山・大槻ペアの快勝。
横山選手はナガセケンコー時代の優勝2回(2012年/平田清乃、2014年/阿部悠梨)に続いて3度目。
大槻選手は小谷菜津美選手と組んだ2017年の以来、2年振り2度目の優勝。
あとで聞いて驚きましたが、出場を予定していたペアの怪我により急遽組むことになった2人は、なんと試合で組むのも初めてどころか、実業団を引退して第一線を退いていた横山選手に至っては直前もろくに練習できず臨んだ、まさに急造ペアでした。
それで優勝してしまうというのは、圧巻の一言。
今回3位のナガセケンコー阿部選手も然りですが、ホント、すごい選手はどこまでいってもすごいものです。
男子もいよいよ準決勝。
船水・中本ペアは、第1シードの丸中・長江ペアも撃破して決勝に駒を進めます。
その反対側の山では、埼玉県が生んだ元世界選手権チャンピオン、菅野創世選手が惜しくも決勝進出とはならなかったものの見事3位入賞。
一般男子/3位
松本佳史・菅野創世(埼玉/川口市役所)
しかも本職ではないはずの前衛として!?
さらに今年確か36歳の年だったはずなので、年齢的には35の部にも出場できるのに一般でもまだまだ第一線でやれます。
参考までに、2011年に世界選手権男子ダブルスで金メダルを取ったときのペアは、今回船水颯人選手と組んでいる中本圭哉選手です。
もう凄すぎてなんだかよくわかりません(笑)
今年の一般男子決勝戦は、ここまで安定の強さで勝ち上がってきた船水・中本ペアと、それに対するは青木雅彦・臼井勇介ペア(愛知/三菱電機)。
正直に申しまして、不勉強な私はあまり青木・臼井ペアのことを存じ上げませんでした。
優勝候補のペアが続々と姿を消すなか、まさに今大会のダークホースとして決勝まで駆け上がった青木・臼井ペア。
自分で言うのもなんですが、マニアの私が知らないくらいなので、きっと「あれ、誰?」という人も少なくないはずです。
決勝戦まで勝ち上がってくるくらいなので、相当な実力があることは疑いないですが、さすがに決勝進出まで予想していた人はいないかも知れません。
そんなお二人のことは、ソフオン編集部が大会後に直撃インタビューを敢行していますので、気になる方はぜひそちらをご覧ください。
🔥船水中本と決勝で激闘🔥全シャカ準優勝!青木・臼井ペア(三菱電機)に迫る🤩「実は○つ子なんです」「青木史上最強のペア?💪」「出身高校は?」
▼本編はコチラ!https://t.co/7rVgoKX0SV#ソフトテニス#全日本社会人 pic.twitter.com/H6OBkAZ0M8
— [公式]ソフトテニス・オンライン編集部 (@softtennis_on) September 17, 2019
ちなみに、三菱電機からは今回もう1ペア(箱田剛志・夏見佳憲ペア)がベスト8入りしていますので、今後日本実業団リーグでの躍進も楽しみです。
最後は船水・中本ペアの貫禄勝ちで幕を閉じました。
来月には中国で世界選手権がありますし、今後の船水プロのさらなるご活躍を願っていると同時に、そのプロを破るのはどの選手かと想像すると楽しみは尽きません。
全日本社会人ソフトテニス選手権大会 試合結果
日本ソフトテニス連盟 > 大会結果速報 > 2019年度 全日本社会人選手権大会 (山形県)
http://www.jsta.or.jp/competition_list?id=6&y=2019
表彰式のあとには、サインをもらったり一緒に写真を撮ってもらおうと出待ちするファンたちの長い列が。
激闘の疲れも見せずに、快くその一人一人のサインに応じる船水プロ。
これはますます人気が高まるのは間違いありません。
先日もYahoo!ニュースに船水颯人選手の記事が出て、普段ソフトテニスに関心が薄い知り合いからも
「なんかソフトテニスのプロ選手が出たんだって? すごいね」
とたびたび聞かれました。
この人気がソフトテニス界のなかだけに止まらず、さらにもっと外へも届いてほしいです。
もちろん船水颯人選手の大ファンですが、その前にソフトテニスの大ファンの一人として、この先の競技人気の高まりを強く願っています。
いやー、全シャカ熱い!
そしてソフトテニス熱いっ!!
またいつもの悪いクセでつい熱くなって、ブログが長くなり過ぎちゃってゴメンナサイ( ´Д⊂ヽ
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
引き続き、「選手編」「山形ぶらり旅編」にご期待ください(笑)
令和元年度(2019) 全日本社会人ソフトテニス選手権 注目動画
2019全日本社会人ソフトテニス選手権大会 一般男子/決勝
船水颯人・中本圭哉(東京・ヨネックス/福井・福井県庁)対 青木雅彦・臼井勇介(愛知/三菱電機)
2019全日本社会人ソフトテニス選手権大会 一般女子/決勝
徳川愛実・黒木瑠璃華(東京・ヨネックス)対 横山温香・大槻麗(愛知・東海市連盟/福島・ダンロップ)
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