高橋乃綾選手の金メダル獲得で俄然勢いづくニッポンチーム。
大会2日目は、シングルスの表彰式に引き続きミックスダブルスの予選が始まります。
各国代表チームによるメダルをかけた戦いに、会場は国際大会ならではの熱気に包まれます。
とくに衝撃を受けたのは開催国インドネシアの大応援団です。
そこには、ソフトテニスの常識からすると信じられないような光景が。
スティックバルーンやラッパまで吹き鳴らした大歓声は、まるでサッカースタジアムでのそれのようです。
さすがは国際大会。
硬式テニスとは明らかに異質ですが、こうしてコート上の選手たちとスタンドでの応援が一体となって盛り上がれるところも、ソフトテニス競技の魅力の一つだと言えます。
ましてやソフトテニス新興国のこうした盛り上がりは、国際普及を願うファンとしては素直に喜びたいと思います。
今回のアジア大会ソフトテニス競技は、個人戦として「シングルス」と「ミックスダブルス」、そして「国別対抗」団体戦の3種目で争われます。
ソフトテニスファンとしては、個人戦ダブルスの実施がないのは残念ではあります。
限られた開催日程や予算のなかでは、どこかを削らなければならないという事情はあるのでしょうが、ダブルスこそソフトテニスの真髄だと考えるソフトテニス愛好者は私を含め少なくないはずです。
しかし海外普及の観点から考えれば、硬式テニスと同様に、報酬や賞賛がより競技者個々人に付いて回るシングルスを重視するほうが、プレーする選手たちにとってはモチベーションになるのかもしれません。
観客の立場としては、男女ダブルスがないのでなおさら、このミックスダブルスに期待が膨らみます。
2年前に千葉で行われたアジア選手権でもそうでしたが、国際大会のレベルになるとミックスといえど女子でも男子顔負けのプレイヤーも多く、その試合は迫力満点です。
むしろ男子同士、女子同士ではないぶん、そこに戦略的な要素や駆け引きの幅が生まれ、面白い試合展開が見られます。
シングルスを見ていても感じたことですが、韓国、台湾、日本の3強国以外の競技レベルも確実に上がってきています。
インドネシア、タイ、中国、モンゴルなど、メダル圏内でもある4強争いも熾烈で、近い将来日韓台の牙城を崩す国が現れても不思議ではありません。
ペア同士のコンビネーションが問われるミックスダブルス。
日本からエントリーした増田健人/黑木瑠璃華、林田リコ/上松俊貴の両ペアは、無事に予選リーグを全勝して翌日の決勝トーナメントへ。
大会3日目。
ベスト8から始まるミックスダブルス決勝トーナメント。
予選リーグを勝ち抜いた実力ペア同士の対戦。
しかも勝てばメダル確定なこともあって、どの試合も白熱します。
増田・黑木ペアの対戦相手は、強豪台湾のエースペア、余凱文(ユー・カイウェン)と鄭竹玲(チェン・チューリン)。
ダブルフォワードの発祥国でもある台湾のプレースタイルは、型にはまらず変幻自在。
強烈なカットサーブから繰り出す、攻撃的な陣形によるネットプレーは驚嘆に値します。
対する日本ペアも増田選手の粘り強いストロークと、黑木選手の積極果敢なネットプレーで応戦しますが、試合が進むにつれ余選手の決定力が一枚上回ります。
メダルまであと一歩、惜しくもベスト8敗退です。
台湾の余・鄭ペアは、ここからさらに快進撃を続けます。
準決勝では、第1シードのキム・ボムジュン/キム・ジヨン(韓国)ペアと対戦。
ボムジュン選手と余選手によるボレーの応酬は、まさに世界No.1前衛を決める勝負といった様相でした。
ここでも余選手の思い切りの良いネットプレーが光り、徐々にスコア差が広がります。
2016アジア選手権のミックスダブルスでも準優勝した韓国のエースペアに対し、終わってみれば1で快勝。
悲願の金メダルに王手をかけます。
もう一方の山では、日本代表若手のホープ、林田リコ/上松俊貴ペアが準決勝へ。
昨年、67年ぶりの高校生皇后杯チャンプに輝き、今回のアジア競技大会代表予選会でも見事優勝を果たした林田リコ選手。
中学生の頃からナショナルチーム入りし、2016アジア選手権では史上初の現役高校生チャンピオン(ダブルス優勝・船水颯人選手/)となるなど、数々の最年少記録を塗り替えてきた上松俊貴選手。
この二人のペアリングは、まさに夢のようです。
このドリームペアがアジアの舞台で金メダルを獲る姿を想像するだけで、ワクワクし過ぎてもう卒倒寸前です。
決勝進出をかけた対戦相手は、韓国のキム・キソン/ムン・ヘギョンペア。
息もつかせぬスーパープレーの連続で、互いに譲らぬままゲームカウント3オール。
最後は、先に仕掛けた林田・上松ペアに惜しいミスが重なり、流れは韓国ペアへ。
どちらに転んでもおかしくない、紙一重の試合展開。
二人が負けたことへの悔しさよりも、この夢のような試合をもっとずっと見ていたいという、名残惜しい気持ちでした。
そして、激闘を勝ち抜いた両ペアによる決勝戦。
最後は、台湾の余・鄭ペアが押し切り、同種目では台湾勢として初の金メダルを獲得。
アジアのNo.1を決めるにふさわしい頂上決戦でした。
見ているだけの私にも、興奮と感動が怒涛のように襲ってきます。
結果的に日本は、ミックスダブルスでは林田リコ/上松俊貴ペアの銅メダルが一つ。
この若い二人のスーパースターは、きっと銅メダルでは満足していないはずです。
今回の経験を活かし、間違いなく4年後には金メダルを獲得してくれると信じて疑いません。
おっと、その前に。
アジア大会はいよいよメインイベントの国別対抗へ。
熱戦はまだまだ終わりません。
頑張れ、ニッポン!!
2018アジア競技大会ソフトテニス競技 注目動画
ミックスダブルス/決勝
余 凱文/鄭 竹玲(TPE)対 キム・キソン/ムン・ヘギョン(KOR)
ミックスダブルス/準決勝
上松俊貴/林田リコ(JPN)対 キム・キソン/ムン・ヘギョン(KOR)
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過去記事:第18回アジア競技大会(シングルス編)
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