7月、8月はインターハイやインカレをはじめとして、各カテゴリーで日本一を決める大会が開催されます。
今年も熱い夏が終わりを迎え、わずかに秋めいてくる9月の第1週。
毎年この時期に開催されるのが社会人の日本一を決める全日本社会人選手権です。
各都道府県の予選を勝ち抜いた、実業団やクラブチームの実力者たちが、今年はここ熊本に集結しました。
会場となった熊本県民総合運動公園は、広大な敷地のなかに屋外テニスコート30面のほか、サッカー場、野球場、ソフトボール場、ラグビー場やら、陸上競技場から体育館、ドームまで、各種スポーツ施設が揃っています。
大会は土日の2日間に渡って実施され、総勢500を超えるペアが参加するビッグトーナメントです。
エントリー数
- 一般男子 278ペア
- 成年男子 119ペア
- 一般女子 94ペア
- 成年女子 18ペア
一般女子と成年女子の試合は、男子のメイン会場から少し離れたところに位置するパークドーム熊本で実施されました。
さすがは全国大会だけあって1回戦からハイレベルな試合が展開され、どの試合も見応えがあります。
この強豪ひしめくトーナメントを勝ち進むのは、たとえ有力ペアでも簡単ではありません。
大会2日目は、一般男子はベスト32、成年男子と一般女子はベスト16、成年女子はベスト8以上で争われます。
全日本社会人に出場するだけでもすごいことですが、2日目に勝ち残るペアはまた次元が違います。
日本代表メンバーであったり、高校や大学などでも全国トップレベルで活躍していた人であったりと、いずれも名前の通った有名選手や腕に覚えのある選手ばかりです。
今回は、男子と女子の会場がやや離れていたこともあり、男子の試合を中心に観戦しました。
全国の強豪選手たちがしのぎを削るなか、圧倒的な強さを見せたのがご存知NTT西日本です。
現在、日本リーグを7連覇中の最強実業団チームは、その強さをいかんなく発揮して今大会でも存在感が際立っていました。
圧巻だったのは、ベスト4を賭けた準々決勝。
ベスト8に4ペアが残り、すべてのコートが鮮やかなブルーのウェアで染まっていました。
船水・林ペア(広島/NTT西日本)
丸中・長江ペア(広島/NTT西日本)
水澤・村上ペア(広島/NTT西日本)
岩崎・原ペア(広島/NTT西日本)
ベスト4すべてをNTT西日本が独占か、という怒涛の勢いでした。
惜しくも独占はなりませんでしたが、そのNTTの牙城を崩したのもまた同じく広島のペアでした。
岡本・加藤ペア(広島/広島翔洋クラブ)
社会人デビュー1年目の岡本・加藤ペアは、広島翔洋高校を卒業後、それぞれ日体大と早稲田大でインカレでも活躍した実力ペアだそうです。
2回戦では第2シードの増田・九島ペア(和歌山/和歌山県庁・大阪/ミズノ)を倒して、一気に準決勝まで駆け上がりました。
ベスト4をすべて広島県勢が占めるなか、決勝戦はNTT西日本の丸中・長江ペアと水澤・村上ペアの同士討ちとなりました。
ダブルフォワードの試合は見ていて面白くないという意見も耳にしますが、そもそも相当な高い技術がなければダブルフォワードは成り立ちません。
NTT西日本の選手を見ていると、全員が前衛、後衛の隔てなくオールラウンドなプレーができて、状況に応じてポジションを変えていく様は、間違いなくソフトテニスの進化型といえます。
平行陣と雁行陣で目まぐるしく入れ替わる陣形。
カットサーブとオーバーハンドサーブの使い分け。
強打やドロップ、スライスなどを交えた多彩なショット。
シングルスも普及してきた近代ソフトテニスにおいて、こうしたトップ選手たちのプレーを見ていると、まだまだソフトテニスの奥は深いなぁと感じ入ります。
激戦の結果、丸中・長江ペアの初優勝。
全日本シングルスを3回、天皇杯を1回(*1)獲っているナショナルチームの長江光一選手ですが、意外にも全日本社会人での優勝はこれが初めてです。
(*1)ペアは水澤悠太選手/NTT西日本広島
やはりタイトルを獲るというのがいかに難しいことかわかります。
また、社会人2年目の丸中選手も、今大会での安定したプレーは群を抜いていた印象です。
これからますますの活躍が期待されます。
なんといっても一般の試合は見応えがあるものですが、個人的には自分と同じ世代にあたる成年の部は注目です。
往年の名選手たちが熟練の技で競い合う成年の部は、それこそ「いぶし銀」のプレー続出で見ていて思わず唸ってしまいます。
昨年優勝の吉川・足利ペアが今年も強敵を退けて決勝まで上がってきました。
対する花田・山田ペアですが、花田直弥選手は現在も日本リーグなどで一般選手に混ざって活躍されているうえ、2005年に全日本社会人一般の部でも優勝(*2)しています。
(*2)ペアは川村達郎選手/岡山市役所(現男子ナショナルチームコーチ)
花田・山田ペア(京都/京都市役所・徳島/大神子病院)
吉川・足利ペア(山口/宇部興産・岡山/クラレ岡山)
今年の成年トーナメントの頂点に立ったのは花田・山田ペア。
男子会場の試合が終了したあと急いでドームまで移動すると、途中からですが一般女子の決勝戦を見ることができました。
女子の試合も、トップ選手たちのプレーは間近で見ると迫力があって面白いです。
男子顔負けの打球音が、ドーム内にこだまします。
小谷・大槻ペア(福島/ダンロップ)
森田・神谷ペア(東京/ヨネックス)
日本代表メンバー同士の対決となった決勝では、ダンロップの小谷・大槻ペアが、ヨネックスの森田・神谷ペアを退け初優勝を果たしました。
学生ももちろんですが、大人になってもソフトテニスはやはり熱い。
テレビやマスコミにも取り上げられる機会の少ないアマチュアスポーツですが、こうした実業団選手などのハイレベルな試合を、ぜひ中高生たちにも見てもらいたいと思います。
長くソフトテニスをやっていると、上には上がいるということを嫌というほど思い知ります。
でも、だからこそ生涯を通じて長く続けるだけの魅力がある競技なんだと思います。
自分でやるのも面白ければ、上手い人の試合を見るのもまた面白い!
はやくも来年が楽しみです。
全日本社会人ソフトテニス選手権大会 試合結果
熊本県ソフトテニス連盟 > 大会結果 > 2017年度の結果 > 第45回 全日本社会人ソフトテニス選手権大会
全日本社会人ソフトテニス選手権大会 注目動画
一般男子/決勝
丸中・長江ペア(NTT西日本) 対 水澤・村上ペア(NTT西日本)
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