4日連続でお届けしているアジア選手権レポートも、いよいよ最終日です。
最終日となる日曜日は、会場のフクダ電子ヒルスコートがあるJR蘇我駅を降りると、早朝にも関わらずジャージ姿の中高生がいっぱいでした。
ちなみに、ソフトテニスをやっている人は、テニスの格好をした人間を見れば、その服装や持ち物から、一発で軟式の人か硬式の人かを見分けることができます(ソフトテニスあるある)。
早朝の会場周辺はものすごい霧に包まれ、まるで大会最終日の波乱の展開でも暗示しているかのようです。
霧が晴れるのを待って、少し遅れて開始になった国別対抗団体戦。
ソフトテニスの醍醐味は、やっぱりなんといっても団体戦です。
しかも、各国の代表選手が威信をかけてメダルを争う団体戦ときたら、盛り上がらないはずがありません。
今大会の国別対抗は、ダブルス、シングルス、ダブルスの3本勝負で行われ、ダブルスは9ゲームマッチ(5ゲーム先取)、シングルスは7ゲームマッチ(4ゲーム先取)です。
私自身はシングルスの経験がありませんが、実業団や大学の大会でも最近はこの「2複1単」方式のような、シングルスを含む団体戦が導入されているようです。
シングルスになじみの薄い私からすると、「やっぱりソフトテニスは前衛・後衛のダブルスでしょう」と思ってしまうのですが、今回、トップ選手たちが繰り広げるド迫力のシングルス戦を間近で見て、その面白さや奥の深さを感じました。
今後の練習にシングルス向けの練習も取り入れてみたら楽しそうだな、と思います。
誰か、今度シングルスを教えてください!
今回の国別対抗では、男子18カ国、女子15カ国がエントリーしています。
さすが国際大会だけあって普段目にする団体戦とは違い、それぞれ国ごとにプレーや応援の仕方に特色があったり、意外な国の選手が結構強かったりして驚きます。
ここでは参加国チームすべてをご紹介しきれませんが、ざっと見ただけでもバラエティに富んでいて興味深いです。
インド男子チーム
インド女子チーム
フィリピン男子チーム(左)・ラオス男子チーム(右)
カンボジア男子チーム
カンボジア女子チーム
マレーシア男子チーム
カザフスタン男子チーム
ネパール女子チーム
なかには、団体戦の最小必要人数となる3名でエントリーしている国もいくつかありました。
マカオ男子チーム
モンゴル女子チーム
たとえ自国では競技者の少ないマイナースポーツであっても、国を代表して参加しているこの選手たちが、将来その国における競技普及の第一人者となっていくんだな、などとあれこれ思いを巡らせるだけでちょっと目頭が熱くなります。
実力では、日本、韓国、中華台北(台湾)の3強が抜きんでていますが、そのあとに続く中国、モンゴル、タイ、インドネシア、フィリピンなども、競技レベルは上がってきているようです。
中華台北女子チーム
中国男子チーム
中国女子チーム
モンゴル男子チーム
タイ女子チーム
フィリピン男子チーム
韓国女子チーム
今大会、男女とも第1シードとなった日本代表チームの勇姿には何度も鳥肌が立ちました。
会場に訪れたたくさんの中高生やジュニアの子供たちのなかにも、この姿を目に焼き付けて、将来の日本代表に選ばれる子がきっといるはずです。
熱戦の結果、強豪国が順当に勝ち進んで、決勝は男女いずれも宿命の日韓対決に。
同時進行となった男女の決勝コートは、大会用に組まれた仮設スタンドも含めてそれぞれ大勢の観客に取り囲まれ、国際大会の決勝にふさわしい迫力です。
前日のダブルスでは男女ともに日本勢が韓国勢を破って上位独占となったこともあり、雪辱に燃える韓国チームは、そんな完全アウェーの空気を吹き飛ばすかのような鬼気迫るプレーの連続でした。
女子は第1対戦で、ダブルス優勝の中川瑞貴・森原可奈ペアが、キム・ジオン選手、コ・ウンジ選手のペアにファイナルで惜敗。
続くシングルスの平久保安純選手に望みが託されましたが、キム・ヨンヘ選手の緩急自在のショットにゲームカウント1ー④で敗れ、銀メダルという結果でした。
アジアソフトテニス選手権
国別対抗
女子決勝 対戦結果
日本 | vs | 韓国 |
---|---|---|
中川 瑞貴/森原 可奈 | 4ー⑤ | キム ジヨン/コ ウンジ |
平久保 安純 | 1ー④ | キム ヨンヘ |
森田 奈緒/神谷 絵梨奈 | ー | / |
一方の男子決勝は、1番に出た日本が誇る最強ダブルフォワード篠原秀典・小林幸司ペアが先勝し、金メダルへ王手をかけます。
続く第2対戦は、一昨日のシングルス準々決勝での激闘の再現となる、増田健人選手とキム・ドンフン選手です。
序盤は増田選手が先行し、ゲームカウント③ー1まで追い込みます。
しかし、前回(2012年)、前々回(2008年)大会のシングルス覇者であるキム・ドンフンも驚異の粘りを見せ、最後は意地と意地のぶつかり合いのような激しいラリーの応酬で、ファイナルデュースの⑫ー10という壮絶な試合となりました。
歴史に残る名ゲームといって間違いないこの勝利の末、日本が前回大会(2012年)につづく国別対抗2連覇の歓喜で幕を閉じました。
アジアソフトテニス選手権
国別対抗
男子決勝 対戦結果
日本 | vs | 韓国 |
---|---|---|
篠原 秀典/小林 幸司 | ⑤ー3 | ソ クォン/ナム テクホ |
増田 健人 | ④ー3 | キム ドンフン |
船水 颯人/長江 光一 | ー | / |
今回、はじめて自分の目で見たソフトテニスの国際大会は、さまざまな面で自分が知るどの大会とも異なるものでした。
4日間会場内を駆けずり回っていたおかげで、試合に出場している選手だけでなく、それを裏でサポートする大会運営スタッフ、チームスタッフ、メディアの動きなど、これまであまり見えていなかった部分でも多くの気づきや学びがありました。
そして大会期間中、会場では懐かしい人たちとの再会や、新たな出会いもありました。
感動的な試合の数々、そして歴史的瞬間を生で見られたことはもちろんですが、それ以上に改めてソフトテニスの魅力と可能性に触れて、これから私が目指したい方向性が、より一層明確になったことが何よりの収穫です。
10年ぶりにソフトテニスをもう一度やろうと決めた矢先の、このタイミングでアジア選手権が日本で開催されたことは幸運としかいいようがありません。
こんなにもカッコよくて、素晴らしいソフトテニスというスポーツを、もっと世間に広く、いや世界の多くの人に知ってもらうために、自分なりにできることがきっとあるはず。
あとで振り返って、必ずここが転機だったと思える、私にとっても記念すべき大会となりました。
2016アジアソフトテニス選手権大会 注目動画
男子国別対抗/決勝戦
日本(JPN) 対 韓国(KOR) 第1対戦
篠原秀典/小林幸司(JPN) 対 ソ・グォン/ナム・テクホ(KOR)
女子国別対抗/決勝戦
日本(JPN) 対 韓国(KOR) 第1対戦
中川瑞貴/森原可奈(JPN) 対 キム・ジオン/コ・ウンジ(KOR)
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